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- いい家作りの考え方 -
何代かに渡って住み継がれた家は、けっして時代の波に押し流されることなく、本物だけが持つことを許された風格を備えています。木の風合いは年月を経て古色をまとって美しく、タイルやレンガは色を落ち着かせて街並みに優しく調和します。そして家具調度さえも人の手のぬくもりを感じながらその歴史を語りかけてきます。
それはあたかも長い間使い込まれた、絶妙な呼吸を知り尽くした職人たちの道具のようにあじわい深い輝きを放ちます。そもそも大切に使い込まれた道具は、最初から使い込まれるに足る基本的な価値が備わっているもので、機能や、品質、デザインが優れているからこそ、時代を超えて大切に使い込まれてゆくのではないでしょうか。
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住まいもまた経年美をたたえるまで、住継いでゆく価値をそなえたものを選びたいものです。残念ながら、日本の住宅は、戦後、住宅不足から質よりも量を確保することが優先されてしまいました。その結果として、大きな地震にも耐えうる構造性能や、体にやさしい室内温熱環境、時代を超えて色あせない外観デザインといった基本的な価値を充たしていない住宅が大量に建てられて来ました。 |
こうして建てられた住宅の多くは、手をかけ使い込んでゆくまでの価値を残念ながら備えておりません。
経済大国となった今日「良いモノを大切にして慈しむ」といった、ほんの少し文化的な発想をすることで、日本の住宅は、平均寿命26年という使い捨て文化の延長線上から、脱却できるのではないでしょうか。 |
世界一の長寿国である日本人にとって、今や一つの家に長く住むことが必然性を帯びてきています。また歳をとればとるほど家にいる時間が長くなります。家にいる時をいかに豊かなものにするかは「住まいの質」と密接に関わってくるのです。つまり、「住まいの質」を高めることが、心にも広がりをもたらせ、新しい豊かな時間を過ごす可能性を引き出せるのです。
「住まいの質」がそのまま「生活の質」と一体化して生活環境を形成しているのです。 |
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